自転車保険比較

Accident bike woman get emergency help paramedics
(photo via: CandyBox Images)
事故ったばかりで自転車で通勤もできない状況ではありますが、会社から自転車通勤者に任意保険の加入を義務付ける御触れが出ました。(先月から出ていたものであり、わたくしのせいではありません)

近頃は自転車保険を販売している会社が増えてきたように思いますが、実は3,4年前にこんな記事があり自転車単独の保険市場は消滅しかかっていました。

毎日新聞(2010年8月22日(日)朝刊記事)
自転車保険:低い認知度 損保各社、販売中止 警察庁所管系も加入2%
自転車と歩行者の事故が10年間で3・7倍に増え、自転車側への高額賠償判決が相次ぐ一方、それに備える保険への関心が極端に低く、損害保険各社が3月までに「自転車総合保険」の販売を中止していたことが分かった。(中略)自転車事故やそれ以外も含めて他人の身体などに危害を与えた際に賠償する「個人賠償責任保険」を、火災保険などに特約として付けるよう勧めている。(中略)ある損保関係者は「保険料が安い割に支払いが多く、販売実績も少ない。経費を考えると特約として販売した方が効率的」と指摘。(以下、省略)

つまり当時は認知度が低く加入者が少ない割に支払いが多く成り立たない。自動車保険等の特約として販売した方が効率的ということだったようです。

ところがその後も自転車事故の高額賠償判決が相次いでニュースなどで大きく取り扱われることになったのと、自動車保険の特約にしたくても、そもそも自動車持ってたら自転車乗ってないというパラドックスが顕在化し、前述の記事にも

「自転車保険のニーズはあり、方法次第でビジネスになる」(朝日火災海上保険の営業担当幹部)

というコメントがあるように、やっぱり自転車保険ビジネスはアリかもという状況になってきたのだと推測されます。また高額賠償の判例で一番有名なのは2013年に神戸地裁が自転車に乗っていた少年の保護者に9,520万円を支払いを命じた判決だと思いますが、これ以外でも相手が死亡した場合には5,000万円以上の高額賠償は当たり前のようになってきています。

というわけで、自転車保険の加入を検討しておいたほうがよい事態になってきたので、いくつか比較検討してみました。条件としては本人型で個人賠償責任保険金額が1億円までのもの(おそらく5,000万円では足りないと思われ)、保険料が比較的リーズナブルなものを選びました。なかには自動車保険より高いのではというものもありましたが、重大事故になるリスクと保険料のバランスが妥当でないと思われたので除外しました。家族でまとめて入るともっと安くなる場合が多いようです。

取扱代理店 イオン保険サービス 日本サイクリング協会 NTTドコモ アドバンスクリエイト
引受会社 au損害保険 同上 東京海上日動 三井住友海上
商品名 じてんしゃBycle(シルバー) CJ+ エコノミー ドコモ サイクル保険 CYCLE 自転車の保険 <本人型> B
年間保険料 6,910円 5,625円 5,280円 5,120円
個人賠償責任保険金 1億円 1億円 2億円 1億円
死亡・後遺障害 400万円 425万円 500万円 500万円
入院(日額) 6,000円 4,000円 3,000円 2,000円
通院(日額) 1,000円 なし なし 1,000円
交通事故以外 対象 対象外 対象 対象外
その他 20kmまでロードサービス無料
自転車に関わる事故の場合保険金額は2倍(個人賠償責任保険は除く)
サイクリングヤマト便電子版の利用権、「Cycling Japan」の閲覧など特典あり
競技・レースの練習や、ブルベ等の競技・レースに準じる危険を伴う走行は適用外
携帯電話料金と合算して支払い可能
申し込みはdメニュー、iモードのみ
ドコモポイントでの支払い不可
取扱代理店 イオン保険サービス セブンイレブン イオン保険サービス 日本サイクリング協会
引受会社 朝日火災海上保険 三井住友海上 朝日火災海上保険 三井住友海上
商品名 自転車の保険 B1コース 自転車向け保険 自転車の保険 A1コース JCA自転車保険 平成26年度
年間保険料 4,980円 4,160円 3,980円 3,000円
個人賠償責任保険金 1億円 1億円 1億円 1億円
死亡・後遺障害 259万円 400万円 348万円 272万円
入院(日額) 3,500円 6,000円 4,500円 4,000円
通院(日額) 1,400円 なし なし なし
交通事故以外 対象 対象外 対象 対象
その他 保険料は4月申込の場合
JCA賛助会員資格が必要(年会費5,000円)
競技・レースの練習や、ブルベ等の競技・レースに準じる危険を伴う走行は適用外

※年間保険料の高い順に並べてあります。上記は調査した時点での情報であり、補償内容や保険料金の変更も想定されます。保険約款をよく読んだ上でご加入ください。加入した保険によって生じたいかなる損害も補償いたしかねます。ご了承ください。(と、書きたくなってくるくらい高額賠償判例が多い)

興味深いのは日本サイクリング協会(JCA)の保険で、前提となっているJCAへの入会によりイベントへの参加が優遇されたり、情報誌「Cycling Japan」が読めたり、自転車をイベント会場まで送ることができるサイクリングヤマト便が利用できたりと会員ならではの特典が盛りだくさんだが、保険では競技やレースのための練習、競技に準ずるブルベなどは補償の対象外となっているところ。物損も含めるとハイリスクと思ったのだろうが、これではせいぜいポタリング程度しか補償されないであろう。一番新しいのはNTTドコモのドコモ サイクル保険かもしれない。携帯料金と一緒に支払いが出来るのは便利だが自動更新となっており、気がついたら自転車に乗っていないのに払い続けていたということも想定できるというかそれが狙いっぽい。溜まり続ける一方のドコモポイントでただ同然で加入しようかとも考えたが、そういう仕組みにはなっていないらしい。そもそもdメニューあるいはiモードから加入のみとなっているのでSIMフリーiPhoneの身としては加入できる術もない。

補償内容を比較してみると死亡や後遺症が残った場合の保険金額に差がありますが、正直なところ安い方も高い方も全然足りないと思われるので、これはあまり決め手にならないかなと思います。あとは入院費用を重視するか、日額1,000円程度の通院補償をつけるか、交通事故以外の怪我などカバーした方がよいかで判断されるのがよいのではと思います。

自動車保険の特約として加入する場合は、年間数百円程度の追加で済むこともあるようですが、前述のように過渡期に保険金額が定められたものも多いみたいで、個人賠償責任保険金額が5,000万円までというのも結構あったり、自動車と同じく対人・対物無制限というものまでいろいろあるようです。加入の際には確認が必要ですね。

自転車通勤者に会社が任意保険の加入を義務付けた場合、保険料を払うのは従業員なのか会社なのかという問題があるかと思いますが、従業員が払わなければならないようです。従業員が自転車通勤途上に事故を起こし、その損害賠償を支払えなかった場合、自転車通勤を許可した会社にその責任がくる可能性もありますが、基本的には損害賠償は本人が行うべきものであり、そういった意味でも任意保険に加入するのは従業員本人になります。通勤でしか自転車に乗らないといった場合も同様です。これは自動車保険にも当てはまるようです。

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