FAC 461

最初の3文字でなんのことだかわかったアナタは、脳みその中が70年代から80年代初頭のNew Wave, Post Punkあたりに偏っているかも知れないが、これくらいでは病気ではないので心配はないだろう。
注文していたFAC 461 FACTORY RECORDS THE COMPLETE GRAPHIC ALBUM by MATTHEW ROBERTSONが届いた。


1978年に当時グラナダでTVキャスターをしていたTony Wilsonが中心になって作ったTHE FACTORYというレーベルのアルバムジャケット、ポスター、クラブ“ハシエンダ(Hacienda)”に至まで全てのアートワーク、作品を納めたもの。作品には”FAC ***”という通し番号が付けられており、ちなみにハシエンダはFAC 51となっている。このあたりのいきさつは映画『24アワー・パーティ・ピープル』(24 HOUR PARTY PEOPLE)を参考にされるとよいと思う。
で、ピーター・サヴィル(Peter Saville)である。本書にはPeter SavilleとPSA(Peter Saville Associates)によるデザインの数々が納められている。(もちろん他のデザイナーの作品もある)Peter Savilleに関しては、”Designed by Peter Saville“という本もあるのだが、テキストより作品がじっくり観たいという方には、こちらがオススメである。ただしDesigned by Peter Savillenほうは、あのロンドンのMagma Booksが帯に「もし一生に一冊だけデザイン書を買うなら、この本。」と寄せているほどの内容なので、機会があったら要チェックなのです。Magma Booksまた行きたいな。イギリス行きたい。
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有名なFAC 1。(画像左側)このイベント告知ポスターがあがってきたのは、なんとイベント当日である。当時まだ美術学生だったPeter Savilleだが、「黄色に手間取った。」と平気な顔というより誇らしげに持ってきたそうだ。他のポスターでもイベントが過ぎた3週間後だったり、かなり締め切りが守れない男というか、完璧主義で遅刻常習犯であったのは有名な話。
またNEW ORDERの”Blue Monday“のジャケットになったFAC 73は、5.25″のフロッピーディスクを模したデザインで、スリーブに開いた穴を抜くための金型と、曲の情報やタイトルなどを納めた右側のカラーバーの印刷に特殊なインクが必要になったせいで、1枚売れるごとに赤字が出るというとんでもない代物だったが、どうせ売れないと採算度外視で発売してみたら、結果的に大ヒット。皮肉にも英国史上最も売れた12″シングルになってしまいました。
実は自分で作ったラベルとか報告書のひな形とかロゴとかグラフィックなモノには、こっそりと番号を入れている。アルファベットを読み替えると制作した日がわかるというもので、”FAC ***”みたいな単純な連番じゃないけど、なんだかかっこよいなと、ひとりデスクでにやにやしているのである。そのうち会社の誰かが気がつくと思うが、その時が楽しい、ちょっとした遊びゴコロは必要なのだ。

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