定刻発車/三戸祐子 を読了。
そういえばアメリカで一人旅をしたときにAmtrakに乗った。SeattleからLos Angelesの間を走るCoast Starlight。名前はかっこ良いのだが、San Fransiscoからの帰りOaklandで乗った列車は2時間遅れで発車した。それからLos Angelesまでの間遅れは全く回復せず。結局12時間くらいかかった。どうやらそれくらいの遅れは普通らしい。アメリカの列車運行のいい加減さと国の広さを実感したのでした。
本書は日本の社会がいかにして平均遅延時間1分未満という世界でもまれな鉄道システムを有するようになったか、定時運転のための技術力、遅れないダイヤとはなにかなど詳細に解説してくれる。
鐘の音で時刻を把握していた時代には庶民は時計がなくても時間感覚があったとか(赤穂浪士の討ち入りは鐘の音を合図に行われた)、各地の宿場がちょうと人が歩ける距離で鈴なりになってできたことが現在の短い駅間隔をつくり、頻繁に停車しては時刻調整ができるようになったなど、なかなか面白いエピソードも含まれていて、特に台風、人身事故、車両トラブルなどの撹乱要因が起こった際の鉄道企業の従業員の動きは、ドラマを描いているようでさえある(実際そんなに対応はよくないと思うのだが)。
あとがきで出てくるのだが、メキシコの鉄道は事故や故障も無くズルズルと「11時間3分」遅れたとのこと。「3分」なんてどうでもいいような数字だな。