絶望的に暗い話 ~ワーキングプア―日本を蝕む病~


ワーキングプア―日本を蝕む病を読んだ。
いま増え続けている新たな貧困層を取材した番組内容を書籍化したもののようなのだが、どうもこの国は大変な道のりを歩みそうだ。
ニート・フリーターがメディアに随分取り上げられたこともあったし、そういうときどちらかというと若者が無気力で怠惰であるというニュアンスで報じられていたと思うのだが、ところが現実には特に地方都市では「働きたくても、働く場がない。」などの問題が沢山起こっているらしい。また農村では、農作物を作っても作っても赤字が膨らむばかり、税金すら払えない状況なのに、なまじ土地や家を持っているから生活保護が受けられない。村社会で地縁や血縁関係が非常に大切にされることから、同じように苦しい親類を頼って迷惑をかけるよりも死を選ぶ。研修と称した中国や東南アジアの人材に仕事を奪われ失職した人々。正社員から突然パート扱いになり、収入が激減。仕事を2つ、3つ掛け持って寝る時間もなく働き続ける人々。突然のリストラで再就職先が見つからず、アパートの家賃が払えなくなりホームレス。
会社が倒産とか、一家の大黒柱が病気で倒れたとか、誰にでも起こりうるような、なにかがあったとき、この国には社会保障というものがちゃんと整っていない。さらにこうやって一度貧困に陥ると、二度と這い上がれないのもまた問題。日本国憲法第25条で制定されている「国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」ということが保証されていない。「ただ普通の暮らしがしたい。」それができない。
企業は生き残りがかかっているから、研修生を労働力にしたり、そんなことみんながやっていれば平気でやっちゃう。もちろんそうじゃない企業もある。でも法律守ってますなんて、大きい声でいうもんじゃない。道路交通法は必ず守りますってタクシーに書いてあるようなもんだ。当たり前だろ。でも法定速度で走っているタクシーなんかいない。そういうことなのかもしれない。
だから秋田県産とか書いてあるけど、精米したのは違う県だったり(ほかの米混ぜてるだろ)、そういうあやしいお米を買わないとか、不法に外国人研修生を労働力として働かせていたブランドの製品は買わないとか、とにかく真面目にやっている人たちが報われるような社会にしていかないと、絶望的に暗いなこの国の未来。

1件のコメント

  1. ワーキングプア

    ワーキングプアワーキング プア(working poor)は、正社員並みにフルタイムで働いても(またはその意思があっても)生活保護の支給額にも満たない収入しか得られない就業者のこと。直訳では「働く貧者」だが、働く貧困層と解釈される。ここでは、特に断

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