iPodは何を変えたのか?/スティーブン・レヴィ(訳:上浦倫人)を読んだ。
原題は著者名も含めて、The Perfect Thing: How the iPod Shuffles Commerce, Culture, amd Coolness by Steven Levyとなっている。
この本は開発秘話だけが書かれているわけでもなく、スティーブ・ジョブスという人物が中心というわけでもなく、デザインについての本でもなく、マーケティング戦略について書かれているわけでもない。ただiPodについて、そのまわりに何が起こったかということが、書いてある。開発前夜から、かのカリスマがゴーサインを出すまでのバックグラウンド、デザインはどのようにして決まったか、著作権を巡るいざこざにどのように挑んだか、世の中に数多あるMP3プレーヤーと何が違ったか、どうしてiPodと一緒に寝る人がいるのかキスしてしまうのか、iPodがPodcastがShuffle機能が世界の何を変えたのか、などなど。
確かにiPodが登場して以降、iPodの発売が噂される日はお祭りになった。そんなふうになるなんて思わなかった。最初はポケットに入れて持ち歩くにはデカいなと思っていた。ちょっと様子を見て、結局買ったのは液晶画面の下にボタンが並んだ第三世代が出たときだった。それが旅行に出掛ける時にはiPodがパスポートの次にマストなアイテムになった。
テクニカルライターなので、読みにくい部分もあるだろう。最初はなかなかページが進まなかったが、途中から一気に読んだ。
第八章でランダムなシャッフル(そう思えないほど絶妙な選曲をiPodがしてくるときもあるのだが)と、往年のラジオDJなど卓越した人間技による素晴らしい選曲との違い、それを再現する技術を述べた後で、「iPodが無線LANに対応する頃には、いずれこうした先駆者達の研究成果が、ほぼランダムに近い現在のシャッフル機能とはまったく別次元の、理想的な選曲システムとして結実する可能性がある。」なんて述べている。この本の日本語版が出て半年、まさにWi-fi対応になったiPod touchが出荷される時期を迎えようとしている。
ということで、早くiPod touch届かないかな。