静かだが、強烈な William Eggleston 2 1/4

昨日に引き続き「買い直した本」です。
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William Egglestonの”2 1/4“。
Egglestonの写真と言えば、Primal ScreamGive Out But Don’t Give Upのジャケットが有名ですが、EgglestonはDye Transfer Printという手法で、アメリカの原風景とも言えるアメリカ中南部の日常を強烈なカラーで写し出し、1976年にNew YorkのMoMA(Museum of Modern Art)に初めて彼の個展が開かれました。Eggleston以前は、カラー写真というのは芸術とは認められていなかったわけで、この個展は論争にまで発展してしまったのですが、それ以後ニューカラーと呼ばれる写真家が次々と登場しました。つまり写真史において極めて重要な人物と言えます。またそのときの図録が今でも買えるというのも、そのインパクトの凄さがわかります。
さて、”2 1/4″はオレが初めてEgglestonに触れた本。写真を撮るようになったきっかけでもあります。当時(1999年)の初版本が洋書コーナーで1万円以上もして(写真集っていうのは、せいぜい5,6千円だと思っていた社会に出たての若すぎるオレ)、悩んで買った記憶があります。
しかしページをめくる度に、2-1/4″というフォーマットのカメラで撮影された60年代後半のあたたかくて寂しい風景が、(ヴィヴィッドというのとは違う)強い色彩で現れ、消費され消えていくアメリカ南部の景色、変わっていく社会、今まで(特にアメリカ人が)あえて目を伏せてきたような景色を、静かだが強烈に叩き付けられたのでした。
貸したけど返ってこないのも、「そうだろ、そうだろ。」と納得するほど、もし1冊だけ写真集をと言われれば、間違いなくこの”2 1/4″です。

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