しばらく書いてなかったが、最近読んだ本を紹介。参考になれば。
午前三時のルースター/垣根涼介
インドネシアに行く前に選んだ一冊。理由は舞台が東南アジア(ミャンマー)だから。そんな理由で選んだ一冊だったので、あまり期待していなかったのだが、旅行代理店に勤める主人公長瀬のひとつひとつの行動が論理的で、それでどうした?と、まんまと引き込まれてしまった。旅に冒険譚は欠かせない。
「良心ある企業」の見分け方/小榑雅章
まぁ、会社というものは企業市民として向社会的でありましょう。という内容。それほど新しい価値でもないのだが、最近は自分だけがよい成績をおさめていれば良いのではなくて、社会に還元できなくてはなりませんよということなのだが、見分け方というほどのことは書いてない。しかし向社会的な活動をしている企業のエピソードなどは読んでいて面白い。
なぜ通販で買うのですか/斎藤駿
通販生活の創業者による通販のお話。対面式の販売と比べては多少胡散臭い感じのした通信販売を、きちっとビジネスとして軌道に乗せていくまでの苦労が綴られた本。売ったら売りっぱなしで、なにかあったときにはドロンという印象が強い通販だが、アフターケアにどう対応するかという面では、上記のような向社会的な取り組み関しては比較的早い段階から取り組んでいたようだ。
ジャージの二人/長嶋有
ドラマチックなストーリー展開というのか、あまり動きのない話というのも結構好きだ。ジャージでうだうだして、それはそれでよいではないか。
トリップ/角田光代
誰にでも人に言えないようなちょっとした秘密はあるのだろう。それを少しだけ覗き見したような、体験したような短編集。橋の向こうの墓地、サイガイホテルがよかったかな。
TOKYOデシベル/辻仁成
テーマが音に関する内容で面白い本だったが、少し専門的な単語も出てきて、わかりにくい題材を扱っているのに、描写の仕方のせいで、人によっては読みにくい文章かも。しかも半分以上を占める「音の地図」のあとに収められている2話は完全に失速してしまう。
日々是作文/山本文緒
読書評とかむかーしの文章とか、まぁその他いろいろ綴られているエッセイ集。年齢と上手につきあうことが、悲しくて、愉しくて、素晴らしいという
疾走(上)(下)/重松清
流星ワゴンで泣かされて以来、重松清には弱いのだが、これはまたどうしようもない家族の崩壊と主人公の転落ぶりが凄い。神父さんの存在なくして、この物語成り立たない。映画のほうも見てみたい。
ホンダ常勝のSED会議/大塚英樹
ハッキリ言ってウチの商売はアメリカでは苦労している。なにか参考になるものはないかと手に取った一冊。SED会議の解説というより、アメリカン・ホンダ通称アメホンの社長雨宮高一を中心にアメリカでアメホンの活動が綴られている。途中SED会議なるものは出てこない。しかし結局草の根活動というか、ディーラーまたはユーザーと向き合って会話するということが成功への王道なのだと改めて感じた一冊。
下山事件/森達也
戦後初の国鉄総裁がある日忽然と姿を消し、翌日に礫死体となって発見された下山事件。この事件がなければ今日の日本の姿は違っていたといわれるほど、歴史を動かした未決の大事件。その真相を客観的に描写しているというよりは、著者自身の体験談として語られる。したがって真実のみを知りたいと期待している人には向かないだろう。むしろ推理小説的に読むのがよいかも。
ランドマーク/吉田修一
大宮に建設中の超高層ビル、omiyaスパイラルの設計士・犬飼と鉄筋工・隼人。建築物同様ふたりのねじれた日常を描いているのだが、終わり方があっさりしすぎ。