違法ダウンロードは悪か

SK4 by Dieter Rams
(photo via: BBB3viz)

はい、悪です。

でも、ちょっといつもとは違うことを書きます。(本業はこっち方面だったりするのですが)

Troy Carter(トロイ・カーター)といえばガガ様(Lady GaGa)の元マネージャーであり、現在でもJohn LegendとかMeghan Trainor(あのぽっちゃりの人ね)とかのマネージャーをやっている人物なんですが、その彼が経営しているマネージメント会社のAtom Factoryがやっているテック、カルチャー系のメディアSMASHDに面白い記事があったので、紹介します。

THE MILLENNIAL MENU How the foodie explosion happened – SMASHD

ミレニアルとは、アメリカでは最大の世代(ある時期に産まれた人たちの区分、日本だと団塊ジュニアとかゆとり世代とかそいうの)で、消費者の固まりとしては、マーケティング的にも無視できなくなっています。

で、この記事で触れられているのはミレニアル(18-34歳くらいまでの世代)は、ザクッと書くと、所有することより、体験することに興味があるようなんですね。高価なバッグよりは、身近でもちょっといい感じの体験の方がより価値があると感じているようです。それでこれを読んで思ったわけです。

「CDが売れない訳だ。」

と。もう所有することに興味がないし、自慢にもならないし、それだったらチケットが入手困難なコンサートや小さいハコでやっているヒップなギグに出かけた方が彼らはいいわけです。

IFPI(国際レコード産業連盟)やRIAJ(日本レコード協会)の年次レポートでも違法ダウンロードが悪いんだという論調が結構あって、そのせいで、CDの販売が激減したとかで、日本では著作権法が改正され2010年から違法にアップロードされたコンテンツのダウンロードが刑事罰の対象になりましたが、それでもパッケージ販売は下げ止まらず10年前の半分とかになっちゃってるわけです。また全世界的には今年の7月からアルバムの発売日が金曜日に統一されます。アルバム発売日が月曜日のイギリス、火曜日のアメリカ、水曜日の日本と異なるため月曜日にイギリスで違法にアップロードされたらアメリカ、日本では発売日より先にダウンロードできるので誰も買わないでしょみたいな。多分7月以降も楽曲の売上が上がったということはないと思います(勝手な推測に過ぎませんが、たぶん間違いない)。おそらくそれより6月30日にサービスを開始するApple Musicの影響の方が数字的に大きく出るでしょうね。

で、このままでは音楽で稼げなくなるので、コピー出来ないライブにシフトしようという動きも出てきて、確かにライブは公演数、動員数、市場規模も前年オーバーが数年続いていて全体で見ると大きくなっているのも確か(コンサートプロモーターズ協会の調査による)で、昨年9月に行われたTHE BIG PARADEでも「ライブはコピーできないからこれからはライブだ。」という話がずいぶんあったようなのです。いまさらな感じもしますが。

話を戻すと、パッケージ販売が減ったのは、違法ダウンロードが悪いとかコピーできないライブにシフトしたのがハマったとかではなくて、実際は違法ダウンロードがなくなれば以前のように音楽を買ってくれると思い込んでいて、ユーザーのモノに対する価値観が変化しているのを捉えられてなかったのではと思われます。この変化を捉えていない限りパッケージ販売は減り続けると思います。

AirbnbとかSpinlisterなどのシェアリングサービスもいろいろ登場して、モノの所有に変化の兆しもありますが、所有より体験に価値が見いだされるのなら、モノは全く売れなくなってしまうのかと言えばそんなことはないでしょうね。ここでも頻繁に出てきているイギリスのサイクルウエアブランドRaphaはかなり速い段階からExperiential Marketing(経験価値マーケティング)を実践していて(最近はTeam Skyの活躍だったり、メディアの商品露出も増えているので、それがきっかけで購入する人もいますが)、ソーシャルネットワーキングサービスを利用し、ライドにまつわる苦悩や喜び、景色や食べ物など身の回りにあるものまで含んだストーリーを通じてブランドの一部になるという経験価値を伝達することに非常に長けていたと思います。この経験価値が理解できない人には、なんであんな高いウエア買う必要があるのかわからなかったでしょうね(Skyのおかげでそうでもなくなりましたが)。機能的でシンプルなデザインのハイエンドスポーツウエアブランドというだけだったら成功しなかっただろうし、コンペティターがデザインに注力しても、ほとんど見向きもされなかったのは、この経験価値マーケティングで訴求していた部分が欠けていたからだと思います。

というわけでSpotifyでも聴きつつ、今後の動きでも影からそっと見守ることにします。

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