ハードの話が続いたのでソフトの話でも。6年ぶりに帰ってきた気になるヤツらシリーズです。
個人でウェブサイトが開設できたり、ブログが出来たり、それこそ誰でもマイメディアが持てる時代にずいぶん前になったのですが、それでも以前は個人でやっているものと、ある程度の組織や資金で運用しているものには、圧倒的な質の差があって当たり前でした。ところが近頃個人のブログから始まった様なインディペンデントなウェブサイト、特にコンテンツ・キュレーション力のあるところは、ミドルメディアと呼ばれるようになるまでの影響力を持つようになってきました。消費者にとっても企業が流したリリースを配信するだけのような古典的なPR手法には、ただの広告に比べれば一定の信憑性はあるものの、それだけでコミュニティを形成して、ユーザー・エンゲージメントを高められるかといえばそうではありません。例えば日本雑誌協会によるとBicycle Clubなどの専門誌で年間発行部数が15万部なので、ちょっとしたサイトになればその何倍ものセッション数があるので、提灯レビュー記事(失礼!)ばかりの紙媒体よりは、遥かに大きな影響力を持つようになってきました。
おそらく本業ではないと思いますが、数人で記事を書きながら広告収入でサイトを運営していけるだけの規模になってきていますし、彼らの発信をマスメディアや企業は見ていてタイアップしたりしているのも面白い現象です。
The Radavist
元々はbroggerでprolly is not probablyというブログをやっていたJohn ProllyがウェブサイトProllyinnotProbably.comを始めて、それが現在のThe Radavistになっています。ライドやレース、製品レビューやビデオが記事の中心ですが、ときどき限定の商品が載ったりします。しかも速攻で売り切れます。
Cycle BOREDOM
とにかく写真のクオリティがよいです。FIRST LOOKのコンテンツなんかは企業がその写真欲しいくらいではないでしょうか。
Pretty Damned Fast
Taylor, Anna, Alexの3人でやっているフォトストーリーやインタビューがメインのサイト。記事は基本的に女子向けですが、日本のそれと違ってめちゃくちゃカッコいい。
Deux North
HUNTというライドで独特の世界観があるDeux North。Specializedがグラベルロードバイクとして投入したDivergeを最もチャレンジングなHUNTに使ってくれと彼らに貸し出しています。ちょっとしたトレンドになりつつあるグラベルロードバイクの情報を感度が高い人に届けるためのマーケティングとしてコラボレーションしているのが面白いです。
The 5th Floor
ロンドン発のThe 5th Floorはロンドンとニューヨークにチームがありロード、トラック、シクロクロス競技のドキュメントを配信。
Velo Cult
ポートランドにあるショップのVelo Cult。名前もスタートした当時はVelo Culture(英語ではBike Culture)で、ただのバイクショップの枠に収まらず、ライブベニューやバーなどをショップ同等に押し出して、カルチャーの醸成に努めている。いつか行ってみたいショップのうちのひとつ。
コンテンツキュレーションやメディア化については、ちょっと前の本ですが「メディア化する企業はなぜ強いのか?」が良書だと思うので、興味のある方には一読をお勧めします。